作詞

作詞講座第二章 叙事詞はたいやきに学べ 23

この中で最も知られている『浦島太郎』をみていきましょう。

『浦島太郎』文部省唱歌 

一 起 昔々浦島は 助けた亀に連れられて
     龍宮城に来て見れば 絵にもかけない美しさ

二 承 乙姫様のご馳走に 鯛や比目魚の舞踊(まいおどり)
     ただ珍しく面白く 月日のたつのも夢の中(うち)

三   遊びにあきて気がついて お暇乞いもそこそこに
     帰る途中の楽しみは 土産に貰った玉手箱

四 転 帰って見ればこは如何に 元居た家も村も無く
     路に行きあう人々は 顔も知らない者ばかり

五   心細さに蓋とれば あけて悔しき玉手箱
  結 中からぱっと白烟(しろけむり) たちまち太郎はお爺さん

『うらしまたろう』では「起」のぶぶんがさらに詳しく描かれています。
一 むかしむかしうらしまは こどものなぶるかめをみて
   あわれとおもいかいとりて ふかきふちへぞはなちける

あえていえば、浦島が漁師であることはどちらの歌詞でも語られていませんが、亀を助けて龍宮城に招待されたことがわかれば、物語を知るには十分であろうと思われます。

『浦島太郎』では起承転結の原則も守られ、しっかりと叙事詞になっています。

日本では民話をもとに作られた歌でさえ、しっかりとした叙事詞ではないことがわかりました。そして、『浦島太郎』が叙事詞として成立していることと、『およげ!たいやきくん』という名作ができたことには関連があると考えるのが自然でしょう。

『およげ!たいやきくん』を作詞した高田ひろおが『浦島太郎』を意識したかどうかはわかりませんが、『浦島太郎』という名作があって、『およげ!たいやきくん』という名作ができたことは間違いないでしょう。

二つの歌は「海の中へ入り、楽しい日々が過ぎ、陸に上がって悲劇的結末をむかえる」という点で相似しています。





by フリーダムミュージックスクール・東京高円寺作詞講座作詞教室

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