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作詞講座第一章 作詞の基礎知識 15
ポピュラーミュージックの形式とは、ポピュラーミュージックの発展の歴史でもあるのです。
時代の好みと要請によってポピュラーミュージックは変化していきました。
自然発生的にできあがった歌はAAA形式でした。
それを真似るところからポピュラーミュージックはスタートしました。そして、メロディの展開が求められ、AAB形式、AABA形式と発展していきます。AABA形式はABAB形式と並んで、ポピュラーミュージック史上に君臨し様式美を極めます。
しかし、さらなる発展を求められAABC形式にその座を譲ったのです。
このように、ポピュラーミュージックの形式は完成しました。「完成した」ということは、「袋小路に入った」ことでもあります。90年代以降その傾向が顕著ですが、今後のポピュラーミュージックは行きどまりからUターンし、過去の遺産を有効利用するしかありません。
どんな芸術にも、どんな芸能にも、ジャンルとしての寿命はあるのです。
しかし、一つのジャンルの寿命が尽きたということは、新たなジャンルが誕生したということでもあります。
ポピュラーミュージックは世界中の様々な音楽を取り込み、融合し、ジャンルの創造という細胞分裂を繰り返しながら進化してきました。
しかし、ポピュラーミュージックを長い間牽引してきたジャズやロックが老齢化した今、その総体であるポピュラーミュージックも高齢化の感が否めないでしょう。
過去の遺産をお色直ししたり、仲を取りもったりして、新しいパッケージに詰め込んで発表するという、現在の傾向はしばらく続きそうです。
歌詞はどうでしょうか。言葉も時代とともに変化していきます。
才能ある作詞家やシンガーソングライターの創造性によって、歌詞に用いられる日本語は50年前の10倍に上ると思われます。
しかし、より多くの言葉を使えればよりすぐれた作品=歌詞ができるというわけではありません。
歌詞の世界でも、誰も使ったことのない「言葉」や「レトリック」を求める作業は飽和点に達しています。
しかし、「共感」という感情が「言葉」から生まれる以上、新しい歌は必要とされるでしょう。
自分たちの「世代の言葉」を代弁してくれる存在として「歌」ほど適したものはないからです。
見方を変えれば、現在は興味深い時代であるともいえます。「袋小路」状態から何が生まれるのか、このまま飽和して固まっていくのか、「行きどまり」をひとっ飛びに、となり街に行ってしまうのか、わからないがゆえにおもしろいのです。
第一章 了
作詞講座第二章 叙事詞はたいやきに学べ 1
by フリーダムミュージックスクール・東京高円寺作詞講座作詞教室