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自分の身の丈に合った歌とは?③
歌という表現方法は芝居と比べると演者のリアルさと密接である。
演技は基本的に他者になることを要求されるが、歌を歌うのはどこまで行っても自分である。
ミュージカルなどは演技の要素が入ってくるだろうが、歌だけ歌う場合は他者になることは無い。あるいは要求されていない。
演技においては演じ手から見ると、他者になる快感というものがある。
歌においても自分から遠い感情やシチュエーションを歌う快感というものがあるかもしれないが、聴き手がそれを要求していないのだ。
例えば、女子高生の心情を歌った歌ではセイラー服を、漁師が主人公の歌では長靴とタオル鉢巻を、などと衣装を代えて歌う歌手はいない。
それは聴き手がそんな要求をしないということだ。そこが芝居との違いである。
演歌歌手などはどんな惨めな貧しい主人公の歌でも、派手なドレスや豪華な振袖を着て歌うが、聴き手は誰一人違和感を持たないのが普通だ。
歌はどこまで行っても自分という一人のリアルなキャラクターのままだ、ということである。
そこで、リアルな自分を裏切らない歌を歌う必要性が出てくるのである。